世界の神話を英語で紹介する「シリーズ・神話を英語で学ぼう」。
今回は日本神話の中編となります。
前回の記事はこちらです。
三貴神の誕生
イザナミを探しに黄泉の国に行ったイザナギでしたが、結局彼女を連れて帰ることはできませんでした。
イザナギが黄泉の国の穢れを洗い落としていると、3人の神が生まれました。
イザナギの左目からは太陽神「アマテラス」、右目からは夜の化身「ツクヨミ」、鼻からは猛将「スサノオ」が生まれました。
姉・アマテラスは天界を、ツクヨミは夜の世界を、弟・スサノオは海を治めることになりました。
この3人兄弟で1番の問題児はスサノオでした。
スサノオは母親・故イザナミに会いたいと泣きわめき、あまりにも泣くために父親・イザナギに叱られて追放されてしまいます。
3 gods were born of Izanagi which are Amaterasu and Tsukuyomi, Susanoo.アマテラスとツクヨミ、スサノオの3人の神々はイザナギから生まれました。
「born of」は「〜から生まれる」という意味です。
スサノオの暴走
スサノオはそれならば姉であるアマテラスに暇乞いをして、黄泉の国へ行こうと姉のいる天界へ向かいます。
しかし、スサノオが天界に近づくに連れて山や川が鳴り響き、大地が揺れ動くため、アマテラスら天界の神々はスサノオが攻めに来ると勘違いしてしまいます。
なんとか攻める気は全くないことを証明できたスサノオは調子に乗って、天界を荒らしまくります。
スサノオの数々の暴挙を受けてアマテラスは天の石屋戸に閉じこもってしまいます。
太陽神であるアマテラスが引きこもってしまったことで世界は暗くなってしまいました。
他の神々の励ましによって元気を取り戻したアマテラスは天の石屋戸から出てくると、スサノオを追放します。
Amaterasu got sick from Susanoo‘s misdeeds.アマテラスはスサノオの悪行のせいで具合が悪くなりました。
「sick from」は「〜のせいで具合が悪くなる」という意味の英語です。
スサノオのヤマタノオロチ退治
行き場を失ったスサノオは出雲国にある肥河(ひのかわ)の上流にたどり着きます。
そこでクシナダヒメとその老夫婦に出会いましたが、彼らの表情はとても悲しそうでした。
気になったスサノオは悲しんでいる理由を彼らに尋ねました。
すると、次のように言うのです。
「私たちには8人の娘がおりましたが、毎年ヤマタノオロチがやってきて娘を1人ずつ餌食としていきます。
今年もその時期が近づいてきています。どうしたらいいのでしょうか…」
スサノオはヤマタノオロチを退治して村人たちを救い出し、「草薙の剣」をゲットします。
ヤマタノオロチを退治したスサノオは立派な髪へと成長し、出雲国にクシナダヒメと穏やかに暮らすことを決めます。
Susanoo beat Yamatanoorochi, a huge snake with 8 heads and bodies.スサノオは8本の頭と頭と体を持つ大蛇ヤマタノオロチを退治しました。
「beat」は「打ち負かす」という意味の英単語で、過去形も「beat」となります。
例文の主語は3人称単数ですが、動詞にsがついていないのは過去形だからです。
豆知識「ヤマタノオロチは洪水のこと!?」
ヤマタノオロチといえば、頭と尻尾が8本ある巨大なヘビのことを思い浮かべますが、実は洪水のことを表していると言われています。
先ほどの老父婦「テナヅチ」「アシナヅチ」は手や足を泥で汚しながら米を作る、つまり稲作そのものを擬人化したものと言われています。
同様に、クシナダヒメをはじめとする8人の娘は田んぼを擬人化したものです。
その可愛らしい8人の娘を奪っていく=田んぼをダメにしてしまうもの、それがヤマタノオロチであり洪水を表しているのではないかという説があります。
そして、スサノオは天界で学んだ感慨の技術を使って洪水を抑えて田畑を守った、ということです。
Yamatanooroti is a metaphor of flood.ヤマタノオロチは洪水を擬人化したものです。
「metaphor」は「比喩」、「flood」は「洪水」という意味の英単語です。
次回、後編はスサノオの子孫「オオクニヌシ」の活躍へと移ります。